
この時期には演習場の草原が夏の花でいっぱいだ。演習場の存在に関してはいろいろな立場から意見があるがそれに関してはここではあえて触れない。
ここは今まで多くの議論の中で、演習場として使用され、その結果、自然保護の聖地とも言える貴重な場所になり始めているのはある意味皮肉とでも言うべきなのだが、民間に返還されていれば間違いなくゴルフ場になり、一面の芝生の丘になってしまったであろうこの草原が、今は貴重な野の花の群生地として人知れずに存在している事は、私たち家族にとってはとても貴重で素晴らしい事実なのだ。


花の一つ一つが、森の中の木の実の一粒がそれぞれ夏を精一杯に美しく生きているのを見ると、言葉に表す事が出来ない不思議な充実感であふれてくる。

子供達はひたすら草原を走り回り、新しい花を見つけるたび、又、鹿の足跡を見つけるたびに歓声を上げている。

いつまでも演習をしなければいけない世界であって欲しくはないが、この場所はあまり大きな開発を進めずにいてくれればと願う。
その後、河口湖ステラシアターで催されている河口湖音楽祭のプログラム中、「スーパーキッズオーケストラ」コンサートを聴きに行く。過去2年続けて聴きに行った家内と子供達は、是非私にもと誘ってくれた。

私の暮らす富士河口湖では、このホールを町で自主運営し、年間数十回ものコンサートを開きその内容は驚くべき多彩さで、人口2万4千人ほどの小さな町として住民が誇る事が出来るホール、運営である。
世界的な指揮者である佐渡裕氏の提唱により始まったこの小学生から高校生によるオーケストラは、今年8年目を迎え、その活動の幅をますます広げている。
音が出た瞬間、これは何かが違う!!とすぐに感じるほどの演奏。
高い技術は当然だが、佐渡裕氏、日頃の指導の各担当者、子供達。このオーケストラに係わるすべての方の音楽に対する喜び、愛情、ひたむきな想いがひしひしと伝わって来るではないか。不覚にも涙が出てしまった。音楽の原点を見せつけられる思いだ。

又、子供達だけでなく、このオーケストラを創設しここまで育ててこられた佐渡裕氏のことも考えないわけにはゆかない。これが本当の教育なのかと思う。氏の人間力、指導力、音楽に対する情熱、人間に対する思い。すべてが整った事でこれだけの演奏が出来る事は想像に難くない。
思わずチェアーフィッティングを提唱し、これから多くの方の応援を得て広めてゆこうとしている自分に当てはめて考えた。どれだけの想いを込めて手でモノを作れるのか・・自分に向き合い人にその思いを伝えるための私の人間としての基本は出来ているのか・・・
沢山教えられる一日だった。
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