なるべく10年分ずつストックするように工夫し、なるべく自然なペースで木の水分と癖を抜いていく。そのように手間を掛けて養生する材木は作品になった後10年、20年しても狂うことなく、最高の木の艶が出てきて、使い込む喜びを感じさせてくれます。
最近は日本の広葉樹の先行きに不安を感じていて、いったい何の木を使うことが木材の動向全体にとって良いことなのか、迷っているところでした。
そんなところで、近所の神社で立ち枯れていた欅を切っているのを発見。太い枝を2本買いました。そして製材をお願いしている小沼チップさんの土場で,横須賀方面の鉄道工事で切られた桜の木、山梨県南部町から出た桐の木を発見。これなら気持ちよく使うことの出来る、素性の良くわかった木達です。

ここでは最近大型のバンドソーを入れたため、スムーズに美しく製材できます。木の香り。製材機の音。さあ!どんな木目が出てくるのか。全体から発する何とも言え無い緊張感と高揚感でわくわくします。
まず、よく木の表面、曲がり、木目の出方、割れの方向を確かめ、どの向きから製材を始めるかを決めます。ここで木の価値がかなり決まってきます。経験の必要な時です。

面白い杢目が出てきました。よかった!ホッとする間もなく、木の質、芯の通り方,この木にあった用途を想像し、作品として、その厚みと量をを判断して、挽き方さんにどのくらいの厚みを何枚取るか伝えます。

このようにして、木と対話し、作品のイメージをふくらませながら次々と製材して行きます。
今日は合わせて9本の丸太を製材していただきました。小沼チップさん、有難うございました。
明日からは体力勝負の桟積みが待っています!
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